怪奇な廃屋が有ります。
小規模の会社を営む社長が、自宅を新築したのですが
この家の庭に掘り抜きの井戸が有ります。
幸せ絶頂期で先行きが保証されたような会社の業績です。
夫婦に新たな命を授かりました。しかし・・・
足取りも危なかしい赤ん坊がこの井戸に誤って落死して
しまいました。夫婦の悲しみは計り知ってあまり有ります。
数ヶ月後、この事故が有った井戸から深夜になると赤ん坊の
泣き声が・・・・・・
井戸は埋められ、それでも止まない泣き声に石を積み上げて
封印したのですが、この声は止みませんでした。
新築した家は、雨戸が閉められて売りに出されましたが
噂を聞いて買主は付かないまま現在に至っています。
私は、この社長の土地を仕事柄、測量の依頼を受けて測った
事が有るのですが、夏にも係わらず井戸に近づくと背筋が
凍る様な悪寒を覚え、業務報酬も放棄して逃げ帰りました。
その頃生まれた私の長男は、病院に掛かりっ切りで今も
通院しているのはこの事が関係しているのかも知れません。
丑三つ時とはよく言いますが、この時刻頃になると、
今でも井戸の底から赤ん坊の泣き声が聞こえてくるかも
知れません。
私自身、このような迷信めいたことには全く興味も関心も
無いのですが、ここだけは怖くて近づく気がしません。
最近、この事を知らない誰かが買ったのか、雨戸が開けられ
住いとして使うための改修・補修がされています。
新しい住人に不幸が災いしないことを祈っております。

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