富士の樹海では方位磁針が正常に動作しない

『方位磁針が狂う』と言われているのは、富士の樹海、特に富士山の北西に位置する青木ヶ原樹海。自殺の名所としても知られるこの樹海は、山梨県富士河口湖町(ふじかわぐちこまち)、鳴沢村にまたがる広い原野。
 
864年、富士山の主火口ではない側火山 長尾山が噴火。流れ出した溶岩台地の上に生まれた樹海、土壌は水分や養分が少ない。そのため、落葉広葉樹が発達するはずの山地帯で、針葉樹が発達した。
 
方位磁針が狂うという話は、磁鉄鉱を多く含む溶岩の上にあり、確かに1,2度の狂いは生じるが、方位磁針が使えないほどではない。ただ、そのような石の上に方位磁針を置けば方向はわからなくなる。
 
現在では、青木ヶ原を抜ける遊歩道も整備され、首都圏からも近く、人気のある観光地となっている。ただ、その道をはずれると、戻れなくなる。
 
噴火し、溶岩が流れ込んだ際、樹木囲むように流れ込み、熱により木は燃え尽きるが、熱を取られた溶岩は固まる。そうして、無数の穴が点在し、落ちれば怪我はまぬがれない。

足場の悪さに加え、周囲は、針葉樹林が取り囲む似たような景色。迷い込んだら最後、抜け出すことができない。

樹海の怖さは、方位磁針の問題ではなく、その樹海が生まれた環境にある。その広さは、山手線に囲まれた面積に匹敵する3000ヘクタールと広大。

自殺志願者は、何を求めて青木ヶ原樹海を最後に訪れるのか。

特異な地形か、人を惑わせる自然環境か、それとも....

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