だるま女


海外旅行中、ブティックの試着室に入った妻がいつまで経っても戻ってこない。

不審に思った夫が扉を開けると、そこに妻の姿はなく、持って入った服だけが落ちていた。

現地警察に通報するも、目撃者がいない上、外国人である夫に警察は冷たく、早々に調査は打ち切られ、彼は帰国を余儀なくされた。

数年後、某国を訪れた夫は「だるま」と日本語の看板を掲げている店に立ち寄る。

そこは見せ物小屋で、やがて現れたのは両手両足を根元で切断され、壁に固定された真っ裸の“だるま”のような女だった。

舌も切断されているらしく、涎を垂らし、焦点の定まらない目で天井を見つめている。

その女は、あの日消えた妻だった。

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