国道135号沿いに広がる海岸線であるが港湾はなく、舟の発着はない。
国道は海岸線より数十m上を走っており、錦ヶ浦トンネル・曽ヶ浦トンネルがある。
かつては道が断崖絶壁の上にあることから自殺の名所とされている。
昭和50年(1975)頃の6月、梅雨の雨が降る22時頃のこと。
タクシー運転手が、錦ヶ浦のめがねトンネル(当時の主要道路)の入り口近くで、二人の若い女性を拾った。
「沼津まで」と、行き先を告げると、女性二人は押し黙ったまま。
20分もあれば十国峠にでるのに、30分も走っている。
おかしいな、となおも進むと、いつの間にか納骨堂の前に来てしまった。
車をバックさせようと後ろを見ると、二人の女性は消えていた。
辺りが薄暗くなった夕方のこと。
一人の観光客が海を眺めていると、風の音に混じって女性の悲鳴のようなものを聞いた。
慌てて崖下を見てみると、大人一人と子供二人が海に浮かんでいる。
大人の長い黒髪がユラユラと波に揺れている。母親なのか。
どうすることもできず、呆然と見ていると突然、三人が水面に立ち上がり、沖の方に流れるようにスーッと移動し消えてしまった。
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