山刀伐峠(なたぎりとうげ)は、山形県最上郡最上町と尾花沢市を結ぶ峠である。標高390m。
曲線が多い走りにくい道だが、物流トラックの走行もそこそこある。冬期間は、沿道に所在する赤倉温泉スキー場に、練習や競技会に向かう山形県内の各高等学校スキー部のマイクロバスやミニバンが走り抜ける姿が良く見られる。
江戸時代に俳人松尾芭蕉が「封人の家」から尾花沢宿に向かうために通ったことでも有名である。
山刀伐峠は、峠の形状が、山仕事や狩りの際に被った「なたぎり」に似ていることから名付けられたものであるが、俗説として、刀を持った山賊が住み着いており、道行く旅行者を襲撃しては身包みを剥ぐ危険な峠であったことに由来するという説もある。
実際に、松尾芭蕉の「奥の細道」には、山刀伐峠を越えるにあたって、「封人の家」の当主有路氏が、山賊から芭蕉の身を守るため、屈強の者を護衛に付けて送った旨が記されている。「奥の細道」には、『高山森々として、一鳥声きかず、木の下闇、茂りあひて、夜行くがごとし』とあり、当時はかなり厳しい峠であったことが偲ばれる。
市境に「山刀伐トンネル」があり、通年通行可能であるが、峠を越える旧車道、さらには江戸期以来の旧街道も残され、歴史街道として整備されている(いずれも冬季通行止)。峠の頂上は鬱蒼としており、小さな駐車場と簡単な案内看板がある。
平成十四年度版「東北怨念地図」の体験談によると、両腕が鋭利な刃物の男の幽霊が出没したという話だ。
しかし、山刀伐峠で最も聞かれる霊的な噂は、昭和51年に完成した山刀伐トンネル近くの電話BOXに出没するという女性の幽霊についてである。
山刀伐峠とその女性にどんな因果があるのか、出没した女性の幽霊がどのような危害を加えるのかという情報を見つけることはできなかった。
また、とおい昔に山賊に殺された者たちの幽霊も現れるという噂もある。
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