フロッピーディスクの発明者はドクター中松
ドクター中松(中松義郎)がフロッピーディスクの発明及び特許を取得したと主張し、これが話題になったため一時期さかんにテレビやラジオに出演した。
五ツ木書房の「Selett」のテレビCMでは、「私の発明にはフロッピーディスクがある」という中松のセリフを流したことがある。
「ドクター中松 創研公認オンラインショップ」でも、「フロッピーディスクの発明者、ドクター・中松」として関連商品を販売している。
しかし、中松が発明したのは「ナカビゾン」 もしくは「積紙式完全自動連奏蓄音器」である。
1948年に特許申請され、1952年に登録された。
ナカビゾンは何枚も繋がった紙の横一行一行に譜面が記録されていて、自動連奏蓄音機の譜面読みとり部分が左右に振れることで譜面を読み込み演奏するものである。
簡単に言うと「レコードジャケットに穴を開けて、中身を取り出さずにそのまま使えるようにする」という特許であり、フロッピーディスクでは磁性体が塗布された円盤が用いられていることやセクタ単位のランダムアクセスが可能なことから全くの別物である。
したがって、「私の発明にはフロッピーディスクがある」という発言は嘘である。
ただ、この構造はフロッピーディスクをそれまでの磁気メディアに対して簡便性を高め一般への普及を促した重要な要素でもあり、逆に「セクタ単位でアクセスできる磁気記憶装置」もフロッピーディスク以前に存在している。
この前提で「ディスク状の記憶媒体をカートリッジ式にして取り扱いを簡便にする」という点ではナカビゾンは時系列的に先取りしていたことになる。
フロッピーディスクを開発したIBMは自社の特許を守るため、当時フロッピーディスクの構造に抵触しそうな他者の特許に対して契約を結んでいた。
この中に中松の特許も含まれており、1979年2月に中松とIBMは「非独占的特許使用契約」をしている。
これは、IBMがフロッピーディスクを日本で発売する際に、中松との紛争を避ける目的である。
その契約内容は技術的なものではなく、エンベロープの意匠に関するものであったとされている(IBMによるサブマリン特許対策という説もある)。
この契約時点でIBMは既にフロッピーディスクを生産しており、さらに5.25インチ型もシュガート社から発売されている。
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